「高いシステムを入れたのに使われない…」介護現場のDXで失敗しないための、たった一つの考え方

こんにちは。株式会社COCOiROの田村です。

「業務効率化のために、システムを導入したい」
「今のやり方がアナログすぎて、ミスが減らない」

経営者様からそんなご相談をいただく時、私はまず「どんな課題を解決して、どんな未来を得たいですか?」とお聞きします。

システムはあくまで手段であって、目的ではないからです。
しかし、多くの場合「業界で有名なシステムを入れたい」というお答えが返ってきます。

でも、ちょっと待ってください。
実は、「気合を入れて導入したシステムこそ、失敗しやすい」という現実があるのをご存じでしょうか。

本当によくある、システム導入の失敗談

私がこれまでに耳にしてきた、介護現場での「システム導入の失敗事例」をご紹介します。
これらは決して特別なケースではなく、どこの事業所でも起こりうることです。

事例1:機能が多すぎて使いこなせない

「シフト管理も給与計算も全部できる!」という有名な勤怠システムを導入。
しかし、画面や設定が複雑になり、ITが苦手な現場スタッフが大混乱。
結局、システムへの入力ミスを事務員が手作業で直すことになり、かえって手間が増えてしまった。

事例2:従量課金でコストが想定外に…

初期費用が安いシステムを導入したが、料金体系が「ユーザー数ごとの従量課金」だった。
パートさんや登録ヘルパーさんが増えるたびに毎月の支払い額がどんどん膨れ上がり、「これなら紙の方が安かった」と後悔することに。

どちらも、「システムそのもの」が悪かったわけではありません。
「現場の実態」と「システムから享受したい価値」のバランスが合っていなかったことが原因です。

0から作らず、「ありもの」を組み合わせる

こうした失敗を避けるために、COCOiROが提案しているのは、「0から作らない」「高額な専用ソフトに頼らない」というアプローチです。

具体的には、Notion、Google Workspace(スプレッドシート等)、Slackなど、すでに世の中で広く使われている「ありもののツール」を組み合わせます。

なぜ、あえて「ありもの」を使うのか。理由は3つあります。

1. 誰でも直せる(属人化しない)

0から開発したオリジナルのシステムは、作ったエンジニアがいなくなると修正が難しくなります(これを「属人化」といいます)。
一方、GoogleやNotionなら、使い方はネットで検索すればすぐに出てきます。
「私(COCOiRO)がいなくなっても、貴社だけで使い続けられる」。この持続可能性こそが最大のリスクヘッジです。

2. 現場がとっつきやすい

「新しい管理画面を覚えてください」と言うと、現場は身構えます。
でも、「Googleで入力してね」なら、抵抗感はぐっと下がります。
システムは、使われなければただの箱です。「現場の心理的なハードル」を下げることが、定着の鍵です。

3. コストが適正に抑えられる

汎用的なツールは、ユーザー数が多く競争が激しいため、非常に安価で高機能です。
介護専用ソフトのように「業界特有の割高な価格設定」に縛られることなく、事業所の規模に合わせた適正なコストで運用できます。

家を建てるより、家具を選ぼう

私はよく、システム導入を「家づくり」に例えます。

フルスクラッチは「特注の豪邸」

0から開発するのは、釘一本から特注で作る豪邸のようなもの。
素晴らしい家ができますが、電球ひとつ変えるのにも設計図が必要です。


COCOiROは「家具のコーディネート」

対して私たちがやるのは、無印良品やIKEAのような、手に入りやすく使いやすい家具(ツール)を選び、貴社の部屋(現場)に合わせて配置すること。
これなら、ライフスタイルが変わっても、簡単に配置換えができます。

COCOiROは「システム開発会社」ではありません。
皆様の現場というお部屋を、最も快適に過ごせる空間にするための「コーディネーター(アーキテクト)」です。

「高価なシステムを入れる前に、ありもののツールでできることはないか?」
もし迷ったら、契約書にサインをする前に一度ご相談ください。

現場にも経営にも優しい、“ちょうどいい選択肢”を一緒に考えましょう。

株式会社COCOiRO 代表取締役
田村 恵

関連記事

PAGE TOP